太陽のカケラ(15)
コン内官の報告によると、この劇場の支配人の父親は
王族会との交流のある人物だった。
ガイドとの兼務でソンイを直々に指名したらしい。


「どういうことだ。この件に関しては報告がなかった。
今後、気をつけるように」


「申し訳ありません、殿下」


「それと妃宮の様子も逐一報告を。
決して1人にはさせないように」


今日のチェギョンには乗馬のレッスンの後、
療養中のヒョン殿下と見舞いを兼ねて
映画鑑賞をしてもらうことになっている。
外部との接触はない。
だから心配することもないのだが、
あまりにもソンイの笑みに意味を感じ、シンは大事を取った。


「はじめまして殿下。ガイドをつとめるパクと申します。
本日はよろしくお願いいたします」


ガイドをつとめる中年の男性が現れると
報道陣からのフラッシュがたかれる。


「今日はお一人のご訪問になったはずだが・・・」


「あの女性は誰だ?」


シンの耳にもソンイの存在に気が付いた記者たちの声が聞こえる。


「報道の皆様、会見、撮影等は後ほど行いますので
しばらくこちらでお待ちください」


広報課の職員が報道陣を止めると、
シンはソンイを見ることなくガイドの案内で中へ進んだ。


*******


車寄せに着いたチェギョンは車の周りに集まっている
黒いスーツの集団に目を見開いた。


「何でこんなに護衛のみなさんがいるの!?」


「殿下のご指示です」


ちらりとその数に目をやると全員が一斉に礼をした。


「暑いのに本当にごめんなさい・・・」


チェギョンは10人ほどいる翊衛司に向かって
ぺこりと頭を下げると
せめてスーツは勘弁してやってくれとチェ尚宮に申し出た。


「まったくもう、心配性なんだからっ」


チェギョンは携帯電話を取り出すと
カタカタとシンにメールを打つ。


【件名】護衛
【本文】公務ではないのに多すぎよ。何かあったの?


チェギョンはため息をつきながら車のシートにもたれる。


街中へ出る坂の途中には太陽が降り注ぐひまわりが揺れていた。
季節を感じるこの宮の道がチェギョンは大好きだった。
歴史ある建物に、自然美がマッチし、心が洗われるようだ。

シンがこんなにも護衛をつけるということは
何か動きがあったのだろうか。
チェギョンは大きなつばの帽子を直しながら
不安に潰されないようにその景色に集中した。


「あんにょーん♪」


乗馬クラブのラウンジに行くとインとファンが
休憩を取っているところだった。
相変わらずソファに横になり夢の旅行を楽しんでいるファンと
音楽を聴きながら雑誌を読んでいた。


「チェギョン!」


インの声でファン夢から覚め、がばっと起き上がる。


「ひとりでレッスンか?」


「うん、最近なかなか来られなかったから、久々なんだ」


「俺たちも急に空きが出たとさっき連絡があったばかりなんだ。
ギョンも誘ったけど、ガンヒョンとデート中だった」


「あはは、ギョンが即答で断る様子が目に浮かぶわ。
じゃ、またあとでね!」


チェギョンは手を振るとインストラクターと
一緒にロッカールームへ消えて行った。


「チェギョン、皇太弟妃殿下になじんだな」


「ああ。すっかりそれっぽくなった」


「そういえば昔、ここでチェギョンを馬鹿にしたら、
シンに怒られたっけ」


「ハハ、あの時のシン、怖かったね」


無感情で無関心だと思っていたシンが
チェギョンと出会ってからは、感情をむき出しにすることも多くなり
付き合いの長い友人たちは戸惑ったものだ。


「行こうか。妃殿下の乗馬姿をそうそう見られる機会はないだろ?」


珍しくファンがインより先に立ち上がると、
インは笑ってその後を付いて行った。


*******


シンと結婚する前は、乗馬なんてものには
一生、縁がないものだと思っていた。


何のためにこんなことをするのかわからないお妃教育や
慣例行事はまだまだいっぱいあるけれど
乗馬はいい気分展開にもなったし、
数少ないシンとの共通の趣味が持てることが
チェギョンには嬉しかった。


「妃宮様、そのまま真っ直ぐお進みください」


「え、えーと、うわっ、あれ?」


おっかなびっくりに指示に従いながら馬をすすめるチェギョンには
まだまだ優雅さとは程遠い。

近くでそれを見ていたインとファンは
それをおもしろそうに見ていた。


「やっぱりチェギョンはチェギョンだな・・・」


「シンに送ってやろうぜ」


ファンはビデオカメラをまわし、
むしろ馬に操られているチェギョンを撮る。

そんなことは知らずにフラフラとレッスンを続けるチェギョンが
2人の近くに迫ってきた。

その時。



ヒヒヒヒヒーンッッ



あっという間の出来事だった。


穏やかなその馬が鳴き声をあげたかと思うと
チェギョンがバランスを崩す。


「ひゃ、ひゃああ・・・」


「危ないっ!!」


インが咄嗟に走り出し、
チェギョンが手を離し落馬したところを抱き留め、
しかりとキャッチした。


「キャーーーーッ!!!」


「妃宮様が落馬されました。担架を!」


乗馬場が騒がしく揺れる。
チェギョンを投げ落とした馬は興奮状態で、
係の者に取り押さえられていた。


「おい、チェギョン、大丈夫か?」


「だ、大丈夫・・・ナイスキャッチ、ありがとう・・・」


「焦った・・・近くにいてよかったよ」


インはチェギョンをゆっくりとおろし、
すぐに駆けつけた救護員にチェギョンを引き渡すと
まだ暴れている馬に目をやる。


「あの、担架とか大丈夫です。歩けますから」


「しかし・・・」


「それにしても、どうしちゃったんだろ。
いつもは優しくて賢い子なのよ」


チェギョンは担架を断るとゆっくりと立ち上がり、
インストラクターに尋ねる。


「妃宮様、申し訳ございませんっ」


「ううん、近くにインがいたなんて本当に私ってラッキー。
それより、あの子を叱らないでね」


チェギョンは心配そうに、強く抑えられている馬を見ながら呟く。

そして、大丈夫だからと騒ぐ声は無視されて
チェギョンは救護室へ運ばれて行った。

取り残されたインとファンはしばらくその場に立ち尽くす。
すると、ファンは思い出したように口を開いた。


「光・・・」


「え?」


「反射した光で馬が驚いたんだ。
鏡か何かが太陽の光を反射させたんだと思う」


ファンは撮影していたビデオカメラをインに見せる。


「まさか、チェギョンが狙われたってことか?」


「・・・可能性はある」


インとファンは光を飛ばしたと思われる客席に視線を送る。
当然、誰かがいる訳もなく、
誰もいなくなったそこで立ち尽くした。


「ここ最近、シンはやたらチェギョンを心配してた。
何かあるのかも・・・」


インは乗馬場をぐるっと見回しながら
予想もつかない展開が待っていそうな不安に胸を押さえた。









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コメント

No title
kahoさん、おはようございます。
もうびっくりすることばかりですね!
まさかチェギョンを暗殺?なんて言葉が浮かんできました。
てっきりシン君がインとファンに護衛を頼んだと思ったのですがそうではなかったようですね。でも、偶然だけど、2人がいてくれてよかったです。もし、落馬していれば怪我だけですんだかどうかわからないですからね!
マスコミもあの女のことを興味を持ちはじめているようだし、あの一族の思い通りになっていると思うとムカつきます。大恥をかかしてやらないと気がすみません。シン君に期待です!続き楽しみです。
何かが動き出した・・・?
kahoさん更新ありがとうございます。
楽しみに妄想TIMEを待ってましたv-237
やっぱりチェギョンを狙ってた??犯人は決まってますよね・・・
ファンはいつもビデオを持って、何を撮っているんだろう?と疑問に思ってましたv-265さっすが!!役に立つときがくるかも!!
シン君きっと心配しまくるんやろうんなあv-238
ソンイとのご飯やめて早くチェギョンのところに行ってあげてv-217
この先も不安!!イン、ファンがんばって、助けてあげてv-237
早く金曜日にならないかな・・・待ってますv-237
とっても怖いよ〜
早速興味本位の記事を書かれちゃうかもしれない、シン君。
うまく対処しないとね。

物凄い護衛の数にびっくりしたチェギョン。
思えばシン君も学校の行き帰りも含めて物凄い数の護衛にウンザリでしたね。
今にして思えば、父君である陛下や母君も本当は物凄くシン君のことが、心配だったのかもしれませんね…
しかしどんなに注意していても、こんな恐ろしいことが起こってしまうなんて、王族会の恐ろしさ、半端やないですね!
でもインのナイスキャッチと、いつもカメラを手放さないファンのおかげで、何とか原因がわかったみたいでよかったですね。
なんでもない日常の隙にさえ忍び寄る王族会の魔の手ですね…
こんな時にナニですが、チェギョンに、赤ちゃんがいなくてよかった。
妊娠初期なら気づかずこういうことあるかもしれませんものね。
不幸中の幸いです、よね^^;
手段選ばずですね
kahoさんこんにちは♪いつもありがとうございます。

チェギョンに対する嫌がらせ、いきなりここまでやるのか?ってくらい直接的でビックリしました(>_<) じわりじわりなのか思っていたら甘かったですね。
これがまだまだ序の口だとしたらチェギョンはどうなってしまうんでしょう。。インとファンが居てくれてほんとに良かった。
シンくんの方も嫌な流れになってきてますね。
次回更新を楽しみにしてます☆
はじめましてKahoさん。初めてコメントさせて頂きます。

フジの韓流αで「宮」にハマり、シンとチェギョンが大好きになり、その後が知りたいと二次小説などを検索していたところKahoさんの妄想の間に出会いました。
過去の物語を一気に読ませて頂き、かなりハマってます(笑)
更新楽しみにしてます。
No title
Kahoさん、更新ありがとうございます!

しかし何だかいや〜な展開になってきたような…。
護衛をどれだけ付けても、スキを付いてくる…怖いです。
ホントにインくん「ナイスキャッチ」でした。
しかしこんなことがあっても馬を叱らないで!って言える
チェギョンはホントに天使のような人です。
そんなチェギョンをどうか傷つけないでよ〜どうか、どうか。
しかし、これ聞いたら「シンくん、黙っちゃないよ!」ですよね。

こんな時に不謹慎ですが、チェギョンをめっちゃ心配するシンくんって
すっごく好き(笑)
(スミマセン…)
コメントありがとうございます♪
いつもたくさんの拍手とコメントをありがとうございます。
とてもとても励みになります!
金曜日もまたお付き合いくださいねー。

>kyoukoさん
未遂に済んで良かったけれど一国の皇太弟妃が大変なことになっています。
妄想の間のくせに韓流ドラマチックな展開・・・いやー私もびっくりです。
ソンイはすべて計算ずくで動いているはずですから
殿下は1秒も気が抜けないんじゃないでしょうか。
ええ、殿下に期待しましょう!

>鍵コメmさん
通常の人間では立ち入れない場所にも出入りするとは
なかなか複雑な組織的犯行のようです。
一気に仕掛けられた宮家への攻撃。
今までおとなしかったソンイが動きはじめただけに
まだまだ油断できないですね。
うんうん、殿下の弱点はチェギョンですから・・・

>陽子リンさん
ああ、こんなおどろおどろしい展開なのに
更新を待っていただいたなんて本当にありがたいですっ。
チェギョンがこんなことになってしまって
殿下は今すぐにでもとんで帰りたいことでしょう。
でも結構遠くに来てしまっているようです。
チェギョンの心のケアも心配ですね。
金曜日もお待ちしております!


>sumaさん
常識では考えられないことばかり起きる宮にいくら慣れているとはいえ、
最愛の妻がこんな目に遭ってしまったら殿下もさぞ心配なことでしょうね。
そりゃ、びっくりするくらいの護衛をつけたくなる気持ちもわかります。
ええ、本当にチェギョンが懐妊してなくてよかったわー。
でもいくら元気なチェギョンでも傷ついているはずですよね。
殿下の仕事は多いけれど、妻のケアを最優先にしてほしいです。

>鍵コメHさん
本当よっ。何も言えない動物を巻き込むなんてとんでもないですっ!
きっとチェギョンに可愛がってもらっているはずだから
馬くん(もしくは馬ちゃん)だってきっと悲しんでいるに違いないわ・・・
もうこんなことが起きないように早めに対処しないとですね。
がんばれ、殿下!

>こまめさん
前回は拍手でもありがとうございます。
私も嬉しかったですよー。ふふふ♪
この仕掛けはどんな意図があるんでしょうか。
殿下もまさかこうなるとは思っていなかったはずなので
若干冷静さを失いそうで心配です。おちついて、殿下〜!

>鍵コメhさん
怖いでしょ。ええ、本当に怖いのよー。
え?ソンイをどこかにですって?
残念ながら彼女はしばらくそこにいるわ。
思いつきで何かをする性格ではないだけに怖いですよね。
ひぇーとなりながら金曜日もお待ちしております。

>マシャさん
はじめまして。管理人のkahoと申します。初コメント嬉しいですー。
韓流αから宮にハマられたんですねー。
ではでは今、まさにシンチェのラブラブな感じにときめきMaxな状態かしら?
こちらの世界にようこそです☆
そしてこんな殺風景な部屋を見つけてくださってありがとうございます。
過去の作品、結構あったでしょう?ありがとうございます、おつかれさまでした!
そしてときめきMaxの中、こんな話の連載でスミマセンっ。(しかも長い)
私ももちろんそうですが、ここのお客さまもみなさんシンチェが大好きな方なので
どうぞこれからも一緒に2人の幸せな妄想を楽しみましょうね。
今後もよろしくお願いします♪

>Junさん
ほんとにいやーな展開ですよ。
こんな展開でお客さまに申し訳ないくらいいやーな空気。
なので、少しだけでも殿下にときめいていただいて
とりあえず良かったです!
私もチェギョンを心配する殿下は大好物です。
(火事の時、探す場面とか切ないけどキュンときましたもの!)
天使のようなチェギョンをこんな目にあわした犯人に
殿下が黙っているわけないですよね。しかし、どう出るか、ですが。
殿下は殿下で心配だったりします・・・
こんばんは。
更新、ありがとうございます☆

ヤダヤダヤダ。
不穏な雰囲気が一杯な今回の公務。
ただただ何事もなく終わるのを祈ることしかできません。

殿下が必要以上にチェギョンを心配するのも無理ないです。
ソンイの近くにいる自分よりも、離れているだけに何が起こるか分からないですもの。
で、その嫌な予感が的中しちゃうとは…。
ソンイ、そして彼女を取り巻く人たち、本当に恐ろしいです。

そんな中でもチェギョンの可愛い「あんにょーん♪」が聞けたこと、そして以前とは違いインくんとファンくんがチェギョンを守ってくれたことが嬉しかったです。
殿下がインくんたちに初めてチェギョンに対する感情を露にしたのも乗馬クラブでしたよね?
あの時気分がスカッとしたのを思い出しました。
そしてファンくんのビデオ、恐るべし!
宮よりもお宝満載でしょうから、いつか殿下に内緒で上映会をお願いしたいですね。(深刻な時なのにこんな発言お許しくださいませ。)
次回更新を楽しみにしています。
ちょっとずつちょっとずつ動き出すソンイが、とっても不気味で、やっぱりターゲットをシンの弱点チェギョンにするのかなぁ?とまぁ勝手に先読み暴走しそうな私でした。妄想が妄想を生み出す感じかな?
金曜日の更新が楽しみです。近頃は、土日が更新されていないから空しくて…
更新日は、朝早くから携帯を気にしている私…
楽しみに待っています☆
コメントありがとうございます♪
>juliさん
ヤダヤダ、まったくヤダわ〜。
チェギョンが危険な目に遭っているのにそばで守れないんですもの
殿下の心中を思うと私も辛いです。
乗馬クラブのあのシーンは印象的でしたね。
いろんな意味で殿下が変わり始めた時でした。
最初はよくわからなかったけど(ハッ。初期だから中の人の演技力のせい?)、
何度か見ると「この時はこうだったのねー」って再発見できますよね。
ファンの映像コレクションは私もいつか観たいと思ってます。
DVDにしたら相当売れますね☆

>しゅがしゅがさん
ソンイはすべて計算して動いているだけに、一言がとても不気味ですよね。
いつもとは違った相手だけに殿下はどのように対処するんでしょうか。
更新日も楽しみにしてくださってありがとうございます。
時間バラバラでごめんなさいね。
9時前くらいにはUPできたらなと思っているので(やたら早い時もありますが)
また次回もよろしくお願いしますー☆
プロフィール

kaho

Author:kaho
韓国ドラマ「宮」が大好き。
皇太子夫妻の幸せを夢見て今日も妄想に全力投球!

本ブログは「宮〜Love in Palace」の非公式ファンページです。
あくまで2次小説であり、当然のことながら原作・関係者様とは一切関係がございません。また、その著作権その他を侵害する意思は全くございません。拙作ではありますが、文章の権利はすべてkahoが管理しております。文章・画像の転載、お知らせなしのリンクは固くお断りいたします。

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